生活習慣病|たにがわクリニック|栗東市の糖尿病内科、腎臓内科、内科、小児科

〒520-3013 滋賀県栗東市目川1403番地
077-599-5797
ヘッダー画像

生活習慣病

生活習慣病|たにがわクリニック|栗東市の糖尿病内科、腎臓内科、内科、小児科

生活習慣病

生活習慣病

生活習慣病とは、その名の通り生活習慣が原因で発症する疾患の総称です。不適切な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過剰なストレスといった健康的ではない習慣や環境が積み重なることにより発症リスクが高まります。日本人の三大死因は、がん、心疾患、脳血管疾患ですが、これらの危険因子となる肥満症・メタボリックシンドローム、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病、痛風・高尿酸血症などはいずれも生活習慣病とされています。生活習慣病の多くは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、心臓や脳、血管などにダメージをもたらします。その結果、ある日突然、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血など、命に関わる重篤な疾患を引き起こすことがあります。
生活習慣病は健康診断などの一般的な検査によって早期発見が可能です。検査値で異常を指摘されている方や、生活習慣病に少しでも不安を持たれている方は早めの受診をお勧めします。

生活習慣病の主な疾患

以下のような疾患の方はご相談ください

  • 糖尿病
  • 高血圧症
  • 脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)
  • 痛風・高尿酸血症
  • 肥満・メタボリックシンドローム

糖尿病

糖尿病

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が正常範囲を超えて高くなる病気です。糖尿病は4つのタイプに分類され、1型糖尿病、2型糖尿病、その他特定の機序・疾患によるもの、妊娠糖尿病があります。日本人では2型糖尿病が圧倒的に多く、その発症にはインスリンの分泌不足といった要因に加え、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係しているといわれています。
糖尿病は、初期は症状が乏しく、目立った症状が現れることなく進行することの多い病気です。口渇(のどが渇く)、多飲(のどが渇くために水分を多く摂る)、多尿(尿の量が増える)、体重減少といった自覚症状が現れたころには、ある程度進行してしまっていることもあります。さらに、病気が進むと三大合併症と呼ばれる糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症を発症して、末期には失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります。また、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性も高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切です。(→詳しくは糖尿病とはへ)

高血圧症

高血圧症

血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁(血管壁)を押す力のことで、高血圧症とは正常範囲よりも高い血圧が続く病態をいいます。
血管の内壁は、本来弾力性がありますが、血圧が高い状態が続くと血管の壁に圧力がかかり、次第に厚く、硬くなります。これが高血圧による動脈硬化です。また、血管に弾力性があるうちは、血圧は基準値以下に収まりますが、動脈硬化などで血流が悪くなるとそれを補うために心臓がより強い力で全身に血液を送ることで血圧が上がります。こうした悪循環が常態化してしまうのが高血圧症です。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019年版による高血圧の診断基準は以下の通りとなっています。

診察室血圧(mmHg)

家庭血圧(mmHg)

収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)

収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)

正常血圧

<120(上)かつ<80(下)

<115(上)かつ<75(下)

正常高値血圧

120-129(上)かつ<80(下)

115-124(上)かつ<75(下)

高値血圧

130-139(上)かつ/または80-89(下)

125-134(上)かつ/または75-84(下)

高血圧

≧140(上)かつ/または≧90(下)

≧135(上)かつ/または≧85(下)

診察室血圧:診察室で測定する血圧
家庭血圧:家庭で測定する血圧
正常血圧を超えて血圧が高くなるほど、脳心血管病や慢性腎臓病を発症するリスクやそれにより死亡するリスクが高くなると言われています。

高血圧には原因のはっきりしない本態性高血圧と、別の疾患や薬剤の副作用などが原因で起こる二次性高血圧という2つのタイプがあります。本態性高血圧は日本人の高血圧の約8~9割を占めており、遺伝的素因(体質)や塩分の過剰摂取、肥満、喫煙、運動不足など様々な要因が組み合わさって発症することから生活習慣病とされています。
高血圧症は自覚症状に乏しいため自分では気づきにくく、また症状がないという理由で健康診断などで血圧が高めと指摘されても放置されている方も少なくありません。しかし、血圧が高い状態を放置しておくと、動脈硬化が生じ、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気をまねいたり、脳出血や脳梗塞の原因になったりする可能性があります。高血圧症は症状がなくても放置しておくことは禁物です。まずは、定期的かつ決まった時間にご家庭で血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。家庭血圧が正常血圧より高い状態が続く場合は、お気軽にご相談ください。
継続的に行う適度な運動、食塩制限など食生活を中心とした生活習慣の改善、禁煙などが高血圧症の予防と治療に有効です。食塩制限といった食生活の改善方法に悩まれている方には、栄養指導を受けていただくことも可能です。生活習慣の改善だけでは血圧が正常化しない場合には降圧薬の投与を行います。

脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)

脂質異常症とは血液中の「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が高くなったり、「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLコレステロールが低下したりした状態のことをいいます。LDLコレステロールが高い状態を「高コレステロール血症」、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれか、または両方が高い状態を「高脂血症」と呼んでいましたが、現在は「高コレステロール血症」と「高脂血症」の両方を含めて「脂質異常症」と呼びます。
日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版による脂質異常症の診断基準は以下の通りとなっています。

LDLコレステロール 140 mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139 mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150 mg/dL以上(空腹時採血) 高トリグリセライド血症
175 mg/dL以上(随時採血)
Non-HDLコレステロール 170 mg/dL以上 高non-HDLコレステロール血症
150~169 mg/dL 境界域高non-HDLコレステロール血症

Non-HDLコレステロールとは、総コレステロールから善玉コレステロールであるHDLコレステロールを引いたもので、LDLコレステロール以外の悪玉コレステロールを含んでいます。

血液中にLDLコレステロールが増えると、傷ついた血管の内壁にLDLコレステロールが沈着してこぶを作り、血管が硬くなります。これが動脈硬化です。中性脂肪も過剰になると、血管の健康が損なわれます。一方、HDLコレステロールは、色々な臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を抑える働きをします。つまり、動脈硬化の予防や改善にはLDLコレステロールやnon-HDLコレステロール、中性脂肪を減らし、「善玉」のHDLコレステロールを増やすことが重要になります。
脂質異常症は、基本的には症状がないため、健康診断などの血液検査で指摘されることがほとんどですが、治療せずに放置していると気がつかないうちに血管が傷つけられ、動脈硬化が進行します。その結果、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血といった動脈硬化性疾患を引き起こすリスクが高まります。
脂質異常症の中には、肉の脂身やバター、ラードといった飽和脂肪酸を多く含む食物や、鶏卵や魚卵、レバーなどといったコレステロールを多く含む食物の過剰摂取、過度の飲酒や運動不足、喫煙、ストレスなどが原因となるものがあり、脂質異常症も生活習慣病の一つと考えられています。ただし、脂質異常症の中には、「家族性高コレステロール血症」など生活習慣とは関係なく発症する遺伝性疾患もあります。日本人の約300人に1人程度は「家族性高コレステロール血症」であると言われており、LDLコレステロールが著明に高いため、早くから動脈硬化が起こり、狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす可能性が高いことから、なるべく早くに診断・治療を開始する必要があります。
脂質異常症の治療は通常、食事療法と運動療法による生活習慣の改善が基本です。禁煙や食生活・飲酒習慣の改善、適度な運動などを行います。食事中の飽和脂肪酸やコレステロールの減らし方がわからないなど具体的な食事療法を詳しく知りたい方には、栄養指導を受けていただくことも可能です。これらを行っても脂質管理の目標値が達成できなかったり、「家族性高コレステロール血症」など動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高かったりする場合には薬物療法も行います。

痛風・高尿酸血症

高尿酸血症とは尿酸値が7.0mg/dLを超えるものをいいます。痛風(痛風関節炎)や腎結石、尿路結石の原因になるほか、肥満・メタボリックシンドロームや高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)などを複合的に合併することが多い病気です。
血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり、炎症を起こします。これを痛風(痛風関節炎)といい、足の親指の付け根、足首、足の甲などによく見られます。突然激痛が生じ、関節の腫れと発赤を伴います。歩けないほどの激痛を訴える方も少なくなく、まさに風が吹いただけで痛いような状態です。痛風発作は消炎鎮痛剤などの治療により、1週間~10日ほどで痛みが落ち着きます。しかし、高尿酸血症を無治療のまま長期間放置したり、治療を中断したりすると、痛風結節と呼ばれるコブのようなものが足の親指の付け根や耳などにでき、尿酸の結晶による腎機能障害や尿路結石のリスクを高めます。
高尿酸血症には遺伝的素因(体質)とプリン体の多い食生活や過度の飲酒、肥満、ストレスなどの生活習慣が関与しています。高尿酸血症と診断された際には、まずは原因となる生活習慣がないかを確認し、運動習慣や食生活を改善していくことが大切です。プリン体を制限した食生活や飲酒制限の程度など詳しく知りたい方には栄養指導を受けていただくことも可能です。生活習慣の改善とともに、必要に応じて体質に応じた薬物治療を行います。特に、これまでに痛風発作を繰り返している方や痛風結節がある方は、薬物治療により尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールすることが望ましいです。

肥満・メタボリックシンドローム

肥満とはいわゆる「太っている」状態をいい、BMIにより判定します。
BMI = 体重 ㎏ / 身長
が25以上を肥満と定義します。さらにBMIが35以上を高度肥満と定義します。ちなみに、18.5≦BMI<25は痩せでも肥満でもない普通体重といいます。日本肥満学会では、BMI=22を標準体重といい、統計的に最も病気になりにくい体重とされています。標準体重は、
標準体重 ㎏=身長 ×22で計算できます。
BMI25以上の肥満があり、さらに肥満による健康障害(合併症)が1つ以上あるか、あるいは内臓脂肪蓄積がある場合には「肥満症」という診断になり、BMIが35以上の場合は「高度肥満症」と診断されます。
肥満による健康障害(合併症)は以下の11種類が挙げられます。
・耐糖能障害・2型糖尿病
・脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)
・高血圧
・痛風・高尿酸血症
・冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
・脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)
・脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)
・月経異常・女性不妊
・睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群
・変形性関節症(膝関節・股関節)
・肥満関連腎臓病
内臓脂肪蓄積の評価としては、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の場合に内臓脂肪型肥満の可能性が高いと判断します。

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積により、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患を発症するリスクの高い状態を意味し、必ずしもBMIが25以上の肥満を伴うわけではありません。言い換えれば、肥満がなくてもメタボリックシンドロームに該当することもあり、肥満があるからといってメタボリックシンドロームに該当するというわけでもありません。
メタボリックシンドロームの診断は、内臓脂肪蓄積(腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上)があり、かつ以下の3項目のうち2項目以上に該当する場合とされており、一般的な健康診断で容易に調べることが可能です。
 ・空腹時採血で中性脂肪(トリグリセライド)≧150 mg/dL かつ(または)HDLコレステロール<40 mg/dL
 ・収縮期血圧≧130 mmHg かつ(または)拡張期血圧≧85 mmHg
 ・空腹時血糖値≧110 mg/dL
肥満症、メタボリックシンドロームの治療の基本は食生活を中心とする生活習慣の改善です。摂取エネルギーを制限し、内臓脂肪を減らすことが重要です。具体的な食事療法の仕方を知りたい方には栄養指導を受けていただくことも可能です(保険が適用できるかどうかは合併症によりますが、保険適用外での栄養指導も可能ですので、お気軽にご相談ください。)
また必要に応じて運動療法も行っていただきます。肥満症やメタボリックシンドロームかもしれないと心配されている方は早めの受診をお勧めします。