糖尿病の治療(食事療法・運動療法)|たにがわクリニック|栗東市の内科

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糖尿病の治療(食事療法・運動療法)

糖尿病の治療(食事療法・運動療法)|たにがわクリニック|栗東市の内科

糖尿病の治療目標

糖尿病はなかなか完治させることの難しい病気ではありますが、適正な治療を継続することによってコントロール可能な病気です。糖尿病の治療目標は、血糖とともに血圧や脂質代謝(コレステロールや中性脂肪)を良好にコントロールし、適正体重を維持し、禁煙を遵守することにより、糖尿病の合併症の発症や進展を抑え、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、健康な人と変わらない寿命を全うすることです。
血糖コントロールの指標として大切なのがHbA1cで、ヘモグロビン・エー・ワン・シーと読みます。過去約1~2か月の平均血糖値を反映し、採血当日の食事や運動による影響を受けません。反対に血糖値は食事の量や質、運動や治療などにより変動しやすいため、血糖値もHbA1cとともに重要な指標です。
たにがわクリニックでは院内で血糖値、HbA1cの測定が可能です。採血後約10分で結果が出ます。糖尿病かもしれないと心配して受診された方や、現在の血糖コントロール状況を知って明日からの治療に役立てたい方などには、院内での血糖値、HbA1c測定を積極的にお勧めします。(→医院案内へ)
血糖コントロールの目標は、以下の図の通りですが、患者様の年齢や臓器障害の有無などを考慮して個別に設定します。さらに、65歳以上の高齢者では、認知症の有無やADL(人が生活を送るために必要な基本的活動の能力)などに個人差が大きいことから、低血糖になるリスクなども考慮の上、血糖コントロールの目標値を設定します。自分が血糖コントロールの目標を達成できているのか、あるいはHbA1c何%くらいを目指せばいいのかわからないという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

糖尿病の治療目標

糖尿病と診断されれば、次に1型糖尿病なのか2型糖尿病なのか、あるいはそれ以外の糖尿病なのかを調べます。(→詳しくは、糖尿病とはへ) さらに患者様の年齢や糖尿病合併症の有無、併存している病気(高血圧症、脂質異常症、肥満症など)の有無などを考慮し、治療目標を決定します。コントロール目標のHbA1cが決まれば、次に患者様と相談の上、治療方針を決めていきます。 1型糖尿病ではインスリンの分泌量が不足していることが多いため、インスリン注射によって補う治療が中心となります。2型糖尿病では生活習慣の改善を目的とした食事療法、運動療法と必要に応じて薬物療法を行います。

食事療法

食事療法

糖尿病において食事療法は治療の根幹となります。糖尿病の薬は使用せずに治療している方だけでなく、インスリン注射を必要とする方や、飲み薬などの薬物療法をしている方にとっても、食事療法は大切な基本となる治療法です。
食事療法の大まかなポイントは以下の6つです。

  1. 1日3回(朝・昼・夕)規則正しく食事をする
  2. ゆっくりよくかんで、腹八分目に
  3. なるべくたくさんの種類の食品をバランスよく食べる
  4. 肉・バター・チーズなどの動物性脂質(飽和脂肪酸)は控えめに
  5. 野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維を多く含む食品を摂る
  6. 果物・ジュース・菓子などの単純糖質を多く含む食品の間食は控える

具体的な食事療法の進め方をお示しします。まず1日の適切なエネルギー摂取量を決定します。
エネルギー摂取量は身長、体重と身体活動量から算出します。また肥満がある場合には、少しずつ適正体重に近づけるように減量を目指します。

エネルギー摂取量 kcal=目標体重 kg×エネルギー係数 kcal/kg

目標体重 kgの目安は、

  • 65歳未満:身長 ㎡×22
  • 65~74歳(前期高齢者):身長 ㎡×22~25
  • 75歳以上(後期高齢者):身長 ㎡×22~25

ただし、75歳以上の後期高齢者の場合は、身体活動量や筋力の低下、ADLの低下、併存している病気の有無などから総合的に判断して目標体重を決定します。

エネルギー係数の目安は、

  • 軽い労作(大部分が座位の静的活動):25~30 kcal/kg
  • 普通の労作(座位中心だが、通勤・家事、軽い運動を含む):30~35 kcal/kg
  • 重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35~ kcal/kg

具体例を示しますと、身長170cm、体重80kgのデスクワーク中心の45歳男性の場合、
BMI = 体重 ㎏/身長 =80 ㎏/1.7 =27.7 (→BMIの詳細は肥満・メタボリックシンドロームへ)
BMI>25であり、肥満の定義に当てはまります。
目標体重は65歳未満であり、身長 ×22になり、1.7 ×22=約64 kgとなります。
エネルギー係数はデスクワーク中心なので、軽い労作(大部分が座位の静的活動)になり、25~30 kcal/kgになります。BMI 27.7の肥満があることから、目標体重を目指して減量する必要がありますので、25~30 kcal/kgのうち低めのエネルギー係数25kcal/kgを使用し、
エネルギー摂取量=目標体重 kg×エネルギー係数 kcal/kg=64 kg×25 kcal/kg=1600 kcalとなります。

ちなみに、肥満がない場合(身長170cm、体重64㎏のデスクワーク中心の45歳男性の場合)は、
エネルギー係数25~30 kcal/kgのうち高めの30 kcal/kgを使用して、
エネルギー摂取量=目標体重 kg×エネルギー係数 kcal/kg=64 kg×30 kcal/kg=1920 kcalになります。

1日の適切なエネルギー摂取量が決まれば、次は炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素をバランスよく摂ることや、ビタミン、ミネラルなどを欠かさず摂取することが大切です。
炭水化物、タンパク質、脂質の配分例は以下のようになります。
炭水化物:摂取エネルギーの40~60%
タンパク質:摂取エネルギーの20%まで
脂質:摂取エネルギーの20~30%
適正なエネルギーの範囲内で、バランスのよい食事を摂るために有効なのが、「糖尿病食事療法のための食品交換表」(日本糖尿病学会)です。食品交換表は、主に含まれている栄養素によって食品を4群6表に分類し、食品の含むエネルギー量80kcalを1単位と定め、同一表内の食品を同一単位で交換摂取できるようにつくられています。食品交換表を利用すれば、適正なエネルギー摂取量の範囲内で、多彩な献立づくりが可能になります。
これまでに栄養指導を受けたことがない方だけでなく、昔受けたことはあるが今の自分に合った栄養指導をもう一度受けてみたいという方も、ぜひ栄養指導を活用してください。

運動療法

運動療法

運動療法も糖尿病治療の基本の一つです。運動療法による効果と言えば、エネルギーの消費量が増加することによる肥満の解消、減量効果がわかりやすいですが、運動することによりブドウ糖と脂肪酸の利用が促進され血糖値が下がります。また、運動療法を継続することによって「インスリン抵抗性」が改善し、血糖コントロールがしやすくなります(→インスリン抵抗性については、糖尿病とはへ)。さらには、心肺機能の改善や運動能力の向上といった効果も期待されます。
ただし、運動をすることによって病気が悪化したり、心血管イベントを起こしたりする可能性がある場合には、運動療法を禁止あるいは制限することもあります。具体的には進行した糖尿病網膜症がある場合や虚血性心疾患や心肺機能に障害がある場合などが挙げられます。運動療法を開始する前には、運動療法をしてよいかどうかぜひ一度ご相談ください。
運動の種類には有酸素運動とレジスタンス運動の2種類があります。有酸素運動はウォーキングや自転車、水泳、ジョギングなどが該当し、継続して行うことによりインスリンの効きがよくなり(インスリン感受性が増大し)、心肺機能を高める効果もあります。一方、レジスタンス運動とは筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う無酸素運動のことで、いわゆる筋力トレーニングです。筋肉量を増加させ、筋力を増強させる効果や基礎代謝量を上げる効果があります。腹筋運動や腕立て伏せ、スクワットなどが該当します。糖尿病の運動療法としては有酸素運動にレジスタンス運動を組み合わせるのが有効です。
有酸素運動は、ウォーキングであれば1回15~30分間を1日2回、1日1万歩程度を目安に、週に3回以上が理想です。レジスタンス運動は1~2日おきに週に2~3回行うことが望ましいですが、無理のない程度に軽い運動から開始し、様子を見ながら少しずつ強度を上げましょう。

糖尿病療養指導

糖尿病の治療には患者様の自己管理がとても大切です。たにがわクリニックでは、患者様が適切な自己管理をしてもらえるように、糖尿病とその療養指導に関する幅広い専門知識をもってサポートを行います。
〈主な療養指導の内容〉
・糖尿病について(病気や検査内容の説明など)
・糖尿病の治療について(食事療法、運動療法、薬の飲み方など)
・インスリン自己注射を始められる方への留意点
・自己血糖測定について
・低血糖/シックデイ/フットケアについて
・糖尿病と口の中の健康について
・日常生活の注意点について

糖尿病栄養指導

ご自身の生活スタイルに合った食事療法を続けていくためには、管理栄養士による「栄養指導」を活用することも有効です。
適切な食事療法によりうまく血糖をコントロールできている方も多くいらっしゃる一方、懸命に食事療法に取り組んでいても、思ったように効果が出ない、何をどう改善すれば良いのかよく分からない、と感じている方も少なくありません。こうした食事療法の問題点を管理栄養士とともに解決していくのが栄養指導です。医師の指示のもと、糖尿病や脂質異常症など食生活の改善が必要と判断された方に対して、管理栄養士による栄養指導を行っております。