腎臓内科|たにがわクリニック|栗東市の糖尿病内科、腎臓内科、内科、小児科

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腎臓内科

腎臓内科|たにがわクリニック|栗東市の糖尿病内科、腎臓内科、内科、小児科

腎臓内科について

腎臓内科について

腎臓内科は、血尿、タンパク尿といった尿検査異常や、浮腫(むくみ)、高血圧、腎機能障害など腎臓を中心とした内科的疾患の診断や治療を専門とする診療科です。
健康診断などで指摘される症状のない軽度の尿検査異常から、糸球体腎炎、糖尿病性腎症・糖尿病性腎臓病、ネフローゼ症候群、腎硬化症、膠原病などに伴う腎機能障害、急性・慢性腎不全や腎機能低下に伴う貧血(腎性貧血)などを扱います。そのほか、電解質異常(カリウムやカルシウムの異常など)、高血圧、透析療法をしている患者様の種々の合併症なども治療対象です。
最近はテレビなどでも慢性腎臓病(CKD)という言葉をよく耳にしますが、慢性腎臓病とは血尿・タンパク尿といった尿検査異常や腎機能障害が3か月以上持続することと定義されています。慢性腎臓病には様々な原因が挙げられますが、なかでも糖尿病や高血圧、痛風(高尿酸血症)などの生活習慣病は慢性腎臓病の主な原因であることから、近年、慢性腎臓病は誰もがかかる可能性のある新たな「国民病」といわれています。腎臓病の初期には目立った自覚症状がないことが多く、無症状のうちに腎機能障害が進行し、明らかな症状が出現したときには「末期腎不全」になっていることも少なくありません。また、慢性腎臓病は脳梗塞や脳出血、心筋梗塞など生命を脅かす疾患を引き起こす危険性も高く、こういった疾患を発症して初めて慢性腎臓病と診断されることもあります。
慢性腎臓病は、早期発見・早期診断と適切な治療を継続すれば、腎機能障害の進行を防ぎ、脳心血管疾患の発症の危険性を低下させることもできる病気です。尿検査や尿の見た目の異常、むくみや高血圧が長く続くなどの症状があれば、放置せずに受診をお勧めします。

腎臓内科でよくみられる症状や所見

尿の異常

  • 尿の泡立ちが多い
  • 尿の色や匂いがおかしい
  • 血尿がある
  • 健康診断で血尿やタンパク尿を指摘された

その他

  • むくみがひどい
  • 血圧が高い
  • 複数の降圧薬を服薬しても血圧が下がらない
  • 最近、体重が増加・減少してきた
  • 原因不明の倦怠感や疲労感がある
  • 健康診断で腎機能障害(クレアチニン値の高値、eGFRの低値)を指摘された
  • 少しずつクレアチニン値が上昇してきている

日常的によくみられる症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。上記のような症状・所見があれば、放置せずにお気軽にご相談ください。

腎臓内科の主な疾患

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)

慢性腎臓病(CKD)とは、時間をかけて腎臓の働きが悪くなっていく腎臓病の総称で、「腎臓の障害」もしくは「腎機能の低下」が3か月以上持続している状態と定義されます。「腎臓の障害」とは尿検査で血尿やタンパク尿を認めたり、超音波検査で腎臓の形態に異常を認めたりすることを言います。「腎機能の低下」とは血液検査でeGFRが正常値以下(60ml/分/1.73㎡未満 )なることを示し、クレアチニン(Cre)の高値として指摘されることも多いです。
日本では成人の8人に1人が慢性腎臓病といわれており、新たな「国民病」として注目されています。
血尿やタンパク尿のみでは自覚症状は認めないことが多いですが、徐々に腎機能障害が進行すると(慢性腎不全)、全身倦怠感、むくみ(浮腫)、息切れ、貧血などの症状が出現します。つまり、こういった自覚症状が現れているときには、腎機能障害がかなり進行している場合が多いとされています。腎機能障害は一定以上まで進行すると機能の回復が難しく、進行を遅らせることも困難となり、最終的には人工透析や腎移植が必要な「末期腎不全」になってしまいます。しかし、慢性腎臓病は軽度なうちに早期に発見して治療を開始すれば、進行を抑制しうる病気です。健康診断で血尿・タンパク尿などの尿検査異常や腎機能障害を指摘されたら、迷わず受診してください。

急性腎障害

数時間から数日の間に急激に腎機能が低下する状態を急性腎障害といいます。老廃物を尿として排泄し、体内の塩分や水分の排泄量を調節する腎臓の機能が低下することにより、尿量減少によるむくみ(浮腫)や体重増加などの症状が出現し、さらに進行すれば食欲低下や全身倦怠感といった症状が現れます。急性腎障害の原因としては、脱水や出血により腎臓への血流が低下することや、薬剤や腎臓の炎症などが挙げられます。適切な治療により腎機能が正常化する場合もありますが、腎機能が完全には回復せず慢性腎臓病に移行することも多いです。

慢性糸球体腎炎

糸球体は細い毛細血管が毛糸の球のように丸く塊になったもので、通常左右それぞれの腎臓に約100万個ずつ存在します。腎臓の働きのひとつとして「尿を作る」というものがあります。動脈を通って血液が腎臓の中に流れ込むと、糸球体が「ろ過装置」として働き、血液から不要な老廃物や塩分を分離することにより尿が作られます。
何らかの原因でこの糸球体に炎症が起こり、ろ過機能が破綻し、タンパク尿や血尿が長期間(1年以上)持続する病気を慢性糸球体腎炎と呼びます。慢性糸球体腎炎の原因は様々ですが、その中で最も多いのがIgA腎症です。IgA腎症とは、糸球体に異常な免疫タンパク(糖鎖異常IgA)がたまることで糸球体に炎症が起こり、タンパク尿や血尿が出現し、徐々に腎臓機能が低下します。慢性糸球体腎炎は、健康診断や学校検尿において尿所見異常(タンパク尿・血尿)で発見されることが多い疾患です。タンパク尿や血尿の程度や血液検査の結果、さらに詳しい検査が必要と判断すれば、原因や重症度、治療法を決定するために腎生検が必要となります。原因や重症度にもよりますが、ステロイド剤や免疫抑制薬、あるいは一部の血圧の薬などを併用して治療を行います。早期発見と継続的な通院が非常に重要な疾患です。

糖尿病性腎症・糖尿病性腎臓病

糖尿病の関係する慢性腎臓病のことを糖尿病性腎臓病(DKD)と呼びます。
糖尿病による高血糖状態が続くと全身の細い血管や神経に障害をきたし、糖尿病性腎症は神経障害、網膜症とともに、糖尿病三大合併症と呼ばれています。糖尿病性腎症は糖尿病にかかって5~10年程度経過してから出現することが多いとされています。第1期はタンパク尿を認めず腎機能も正常範囲内で腎症前期と呼ばれます。第2期(早期腎症期)では自覚症状はほとんどありませんが、微量アルブミン尿と呼ばれる微量のタンパク尿が出現し、尿検査により診断します。腎症がさらに進行し、第3期になると、たくさんのタンパク尿が出るようになり(顕性腎症期)、むくみや息切れ、食欲不振、満腹感などの自覚症状を伴う場合があります。さらに進行し、腎機能が低下した状態を第4期(腎不全期)と呼び、透析療法を必要とする状態が第5期(透析療法期)となります。第4期や第5期になると第3期の症状に加えて、顔色が悪い、身体がだるい、吐き気や嘔吐、睡眠障害や知覚異常など様々な自覚症状が現れることがあります。
このように微量アルブミン尿から始まり、タンパク尿の増加とともに徐々に腎機能障害が進行するのが典型的な糖尿病性腎症の経過ですが、こういった典型的な経過をとらず、タンパク尿が出現する前から腎機能が低下する非典型例も少なくなくありません。このような非典型例を、典型的な糖尿病性腎症と合わせて「糖尿病性腎臓病」と呼んでいます。
糖尿病性腎臓病はなるべく早期に診断し、治療を開始すれば進行を抑制するだけでなく治すことも可能ですが、診断が遅れ、適切な治療を受けなければ徐々に進行します。透析療法が必要な末期腎不全に至らないようにするためにも、早期診断と早期治療が大切です。

(→詳しくは糖尿病の合併症 糖尿病性腎症へ)

ネフローゼ症候群

糸球体のろ過機能が障害されることにより、大量のタンパクが尿に流れ出し、血液中のタンパク質濃度が低下し、全身にむくみを生じる腎臓病の総称です。糸球体が障害される原因は様々で、原因不明なものから糖尿病などの代謝異常や膠原病、感染症、血液疾患、悪性腫瘍まで、多くの疾患との関連性が指摘されています。
症状としては、むくみや尿の泡立ちのみの場合もありますが、全身倦怠感や呼吸困難、食欲低下などを伴うこともあります。原因によって治療法や治りやすさが異なり、タンパク尿が完全に消えるケースもあれば、薬が効きにくく大量のタンパク尿が持続し徐々に腎機能が低下するケースも少なくありません。

高血圧症

成人の正常血圧の定義は、診察室で測定した血圧(診察室血圧)の収縮期血圧(上の血圧)が120mmHg未満かつ拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg未満、あるいは家庭で測定した血圧(家庭血圧)の収縮期血圧115mmHg未満かつ拡張期血圧75mmHg未満の場合を表します。正常血圧を超えて血圧が高くなるほど、脳心血管病や慢性腎臓病を発症するリスクやそれにより死亡するリスクが高くなると言われています。(→詳しくは高血圧症へ)
高血圧とは診察室血圧が140/90mmHg以上、あるいは家庭血圧が135/85mmHg以上になることを表します。正常血圧よりも高いが、高血圧の定義には当てはまらない場合は、血圧の程度により「正常高値血圧」「高値血圧」と分類され、いずれも正常血圧に比べて脳心血管病を発症するリスクが高く、また後々高血圧に移行する確率が高いため、高血圧同様に管理が必要です。
高血圧には原因のはっきりしない本態性高血圧と、別の疾患や薬剤の副作用などが原因で起こる二次性高血圧という2つのタイプがあります。日本人の高血圧の約8~9割が本態性高血圧で、遺伝的素因(体質)や塩分の過剰摂取、肥満など様々な要因が組み合わさって発症します。
「血圧を調節する」というのも腎臓の重要な働きのひとつで、体内に摂取された塩分と水分の排出量を調節したり、血圧の調節に関与するレニンというホルモンを分泌したりすることにより血圧を正常範囲内に維持しています。しかし腎機能が障害されると、この機能が適切に働かなくなるため、高血圧になりやすくなります。また、高血圧そのものが腎障害を促進するため、腎臓と血圧との間で悪循環が形成されます。(→腎硬化症へ)
このように高血圧と腎臓には密接な関係があるため、腎臓病の治療では腎臓を保護しながら適切に血圧コントロールを行うことが重要とされています。

腎硬化症

腎硬化症は、高血圧が長期間続くことで腎臓の血管に動脈硬化が起こり、腎臓内の血流が悪くなり、腎機能障害をきたす疾患です。年齢を重ねて血圧が高くなっていくことで病気が進行することが知られています。初期の症状は、高血圧に伴う肩こり、めまい、頭痛などを自覚することもありますが、多くの場合、腎臓による症状は出ないまま病気が進行し、健康診断などでタンパク尿や腎機能障害を指摘され、腎硬化症と診断されます。腎硬化症は、日本における透析療法が必要となる原因の第3位で、全体の18.2%を占めています。
腎硬化症の治療は高血圧の治療が中心となり、食事療法(1日6g以下の減塩食)や運動療法による生活習慣の改善と降圧薬による治療を行います。
(高血圧については、高血圧症へ)

腎性貧血

腎性貧血は腎機能が低下することにより生じる貧血で、末期腎不全や透析を必要とする人にみられます。腎臓は様々なホルモンを分泌していますが、その一つにエリスロポエチンというホルモンがあります。エリスロポエチンは骨髄の造血幹細胞に働いて赤血球を作る働きを促進します。腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球を作る能力が低下して貧血になります。この貧血を腎性貧血といいます。腎性貧血の治療としては注射薬と内服薬治療の2種類があります。

多発性のう胞腎

腎のう胞とは腎臓にできる袋状のもので、中に液体が溜まっています。多発性のう胞腎は、腎のう胞を形成する遺伝性疾患で、両側に多数ののう胞を認め、徐々に大きくなる過程で、腎臓の正常組織が影響を受け、腎機能障害から腎不全にまで至ることもあります。症状は腹痛や血尿、高血圧などが挙げられますが、健診などで偶然発見されることも少なくありません。心臓弁膜症や脳動脈瘤などの合併リスクが高いことが知られており、適切な診断と早期の治療が重要です。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎盂(じんう)は腎臓内にある尿を貯めるところで、腎臓で作られた尿は腎盂から尿管を通って膀胱に貯められ尿道から排出されます。この腎盂に起こる細菌感染症を腎盂腎炎と呼びます。本来は腎盂にも膀胱にも細菌はいませんが、膀胱に細菌感染症が起こり(膀胱炎)、その細菌が尿管を逆流することで腎盂に感染を起こします。膀胱炎による排尿時痛や頻尿、残尿感といった症状に加え、急な発熱、悪寒、脇腹や腰の痛み、吐き気などの症状を認めます。適切な抗菌薬による治療を行えば、症状は3〜5日ほどで軽減することが多いですが、治療が遅れると細菌が腎臓から全身に広がり生命にかかわることもありますので、早期の治療が大切です。

尿路結石

尿路とは尿が排出される経路のことをいい、腎臓で作られた尿は尿管を経て膀胱に貯められ、尿道から排出されます。この尿路に結石ができることを尿路結石といい、結石のある部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。結石が腎臓内にあるうちは、鈍い痛みや無症状のことが多いですが、尿管に落ちると突然、わき腹や下腹部、腰などに刺し込むような激痛が起こり、発熱や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。また、腎臓の機能が低下したり、炎症を起こしたりする場合もあります。小さい結石であれば、十分な水分摂取と、薬剤により自然に排石(体外に結石が出ること)を待つ保存療法が基本になります。10ミリ以上の大きな結石や、自然排石が難しいと考えられる場合には、体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などを用いた内視鏡手術が行われます。尿路結石は再発しやすいので、定期的に検査を受けることも大切です。